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2019年一級建築士試験 「設計製図の試験」の課題の講評!美術館の分館

建築物の計画に当たっての留意事項

  • 敷地条件(方位等)や周辺環境に配慮して計画するとともに、空調負荷の抑制や自然光の利用を図る。
  • バリアフリー、省エネルギー、セキュリティ等に配慮して計画する。
  • 各要求室を適切にゾーニングし、明快な動線計画とする。
  • 建築物全体が、構造耐力上、安全であるとともに、経済性に配慮して計画する。
  • 構造種別に応じて架構形式及びスパン割りを適切に計画するとともに、適切な断面寸法の部材を配置する。
  • 空気調和設備、給排水衛生設備、電気設備、昇降機設備等を適切に計画する。

注意事項

「試験問題」及び上記の「要求図書」、「建築物の計画に当たっての留意事項」を十分に理解したうえで、「設計製図の試験」に臨むようにして下さい。 なお、建築基準法令や要求図書、主要な要求室等の計画等の設計与条件に対して解答内容が不十分な場合には、「設計条件・要求図面等に対する重大な不適合」等と判断されます。


本年度の一級建築士設計製図の試験の課題は上記のように発表されました。本年度の試験にやや類似した内容の課題としては、1986年に「集会施設をもつ郷土資料館」、1994年に「地方都市に建つ美術館」、2010年に「小都市に建つ美術館」等が出題されていますが、美術館の「分館」としての出題は本年度が初めてとなります。

本課題の「分館」の意味は、課題の注1にも記されていますように、単なる小規模な美術館とは全く異なり、市民の美術愛好家の活動交流の充実やひいては市民の余暇活動そのものの充実・交流等を通して、地域の活性化をも視野に入れた施設の在り方を問うもので、その意味では今日的な意味を包含する課題であると考えることができます。

本来、美術館は内外の評価の定まった作家の作品の常設展示、特別展示の場であるのに対して、本課題の施設である分館の設計を考える上では概ね以下のような点が重要なポイントとなるといえます。

美術愛好家や趣味とする市民(子供を含む)の作品の発表の場としての展示施設を有し、準備室や倉庫も併設される。美術館の展示施設に比して一般的にやや簡易な展示施設となる。

絵画や彫刻等の作品の製作、実習の場で、共同作業の場となることもあり、これらのための種々のアトリエや準備室が必要となる。

講演会や意見交換の場としての集会室(講堂)や研修室(会議室)が必要となり、特に研修室は大小いくつかのタイプのものが設けられることがある。

本施設は単なる創作や発表の場としてだけではなく、美術愛好家、同好の士等の市民の交流の場としての意味も大きい。このために交流の場となる集会室や建物内外の交流の場となる空間(建物内部のラウンジ、外部の広場等)も重要な要素となり、また喫茶室やレストランが設けられることもある。なお、交流の場としての集会室は、の集会室(講堂)と兼ねる場合も多い。

施設を管理する部門として、事務室、館長室が設けられ、また、作品の製作指導のための講師のための講師室等が設けられることもある。

以上のように本課題の施設は単なる小規模な美術館とは異なる様々な機能を有する複合施設であり、それだけに課題条件を充分理解・把握した上での高度な建築計画力を要するものとなることが予想されます。

なお、本課題では、課題文で注2として記されている屋上庭園の計画や注3として記されている建築計画上の法令上の注意事項も当然、合否を分ける重要ポイントとなることから、試験のための準備においても十二分の留意を払うことが求められます。

本課題では、平成21年度の試験内容の見直し以来の傾向としての建築計画力が特に重要な要素となってきている従来の試験の延長線上にあると考えられますが、更に受験者の裁量の余地の多い、いわゆる自由度の高い課題条件となる可能性も高く、それだけに着実な建築計画力を養成することが、確実な合格を得るための鍵になると考えられます。

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