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平成30年度二級建築士学科試験の総評

本年の学科試験の内容は、平成24年の二級建築士試験内容の見直し以降の傾向の延長線上ともいえる内容で、一部に、過去の問題の出題範囲外からの新規の設問も見られたものの、総じて、大方の問題は、過去の出題範囲内の事項についてのしっかりした知識と深い理解を有していれば正解に至ることのできるものが多く出題されました。但し、その反面、表面的な付け焼き刃的な知識では解けない問題も多く、従来の出題範囲内の事項について、いかに単なる暗記でない深い理解力と着実な応用力を有しているかが、合否を分ける大きな要因となったものと考えられます。

学科 I (計画)

計画の各分野別の問題数は、建築史2、環境工学8、建築計画論8、建築設備7で、各分野からの出題比率は例年通りでした。おおむね各分野の問題は、既出題範囲内からの問題が多く、比較的取り組みやすいものでしたが、室内側表面結露防止に関する問題や必要な断熱材の厚さを問う計算問題等、確実な理解力を要する工夫された問題が出題されていたのが注目されます。更に、建築計画論では、老人ホームや保育所の計画上の基準面積や車椅子使用者に配慮した設計上の基準寸法等についての着実な知識を問う問題が出題され、更に、建築設備では、用語に関するやや難度の高い問題も出題されたものの、総じて、既出題範囲内からの標準的難度の出題が多く、学科Ⅰ(計画)の問題の難易度はおおむね例年並みであったと考えられます。

学科 II (法規)

法規の出題分野は、建築基準法とその他の建築関係法とからなりますが、建築基準法20、その他の建築関係法令5で、例年通りの出題比率でした。本年の出題傾向として注目されるのは、特に建築基準法に関する問題で、政令等の規定についての長文の詳細な設問が目立ち、それだけに、詳細な事項についての系統的に整理された理解に基づく、正確な知識の有無が得点に大きく影響するものとなっています。

また、建築基準法以外のその他の法令に関する問題で、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」に係わる問題や「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」に係わる問題や、また、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」に係わる問題等、比較的難度の高い問題が出題されていたことも注目されます。総じて、学科Ⅱ(法規)の問題は例年よりやや程度が高いものであったと考えられます。

学科 III (構造)

構造の各分野からの出題数は、昨年と同様の力学6、各種構造・構造設計13、材料6からなりますが、いずれの分野の問題も、大方の問題は、過去の出題範囲内からの出題で、しっかりした基礎知識、理解力があればおおむね解ける内容の問題でした。ただし、構造の分野は、元来、単なる表面的な記憶だけでなく、理論に対するしっかりした理解力が欠かせない分野であり、特に本年の各種構造・構造設計に係わる問題では、木造・RC造・S造の各部設計や耐震計画において、しっかりした理論に対する理解力と応用力がなければ解けない問題が出題されたこと、更に近年の傾向として、木造の出題比率が高くなる傾向にある中で、木質構造についての問題が前年に続き計3題出題されたことは特に注目されます。なお、材料に関する問題は、おおむね既出題範囲内からの問題でした。以上のように、学科Ⅲ(構造)の問題としては、総じて、既出題範囲内の事項についてのしっかりした理解力と応用力が身についていれば解ける問題が多いことから、着実な理論に対する理解力と応用力が身についているか否かが、得点上の差となるものが多く、難易度はおおむね例年並みであったといえます。

学科 IV (施工)

本年の試験での各分野別の出題数は例年通りで、施工計画・管理・契約5、各部工事18、その他2でした。施工は出題分野が広く、また記憶しなければならないことが詳細な事項も含めて非常に多いのが特徴ですが、施工計画では、近年、出題頻度の多くなってきている環境重視の傾向の一環とも考えられる問題や工事監理の在り方にも係わる請負契約についての問題が出題されたのも注目されます。また、近年、出題頻度の高くなる傾向にある木造に係わる既出題範囲外からの設問を含む問題が2問出題されたのも注目されます。その他の問題でも選択肢に既出題範囲外からの設問を含む問題も多く見られましたが、いずれの問題も既出題範囲内からの選択肢が解ければ、正答に至ることのできる問題が多く見られました。総じて、本年の学科Ⅳ(施工)の問題の難易度はおおむね例年並みであったと考えられます。いずれにしても、施工については、詳細な事項についての紛らわしい設問に対しても正確に解答できるための、広範囲に渡る確実な知識を、現場の経験がない事項についても、着実に整理して身につけておくことが得点のための重要な鍵になるといえます。

学科試験対策上の留意点

以上から、総じて、学科Ⅱ(法規)の難度がやや高かった以外は、他の科目の難度はおおむね例年並みであったと考えられ、本年の各科目の合格基準点の予測値としては、学科Ⅰ(計画)、学科Ⅲ(構造)、学科Ⅳ(施工)では例年通り13点で、学科Ⅱ(法規)では12点〜13点で、合格総合基準点は、例年通り60点となることが予測されます。

近年の傾向として、出題される問題、または問題の選択肢の一部に、既出題範囲外からの設問を含む、いわゆる新規な問題も出題されるようになってきてはいるものの、概して、既出題範囲内の事項についてのしっかりした知識・理解力があれば合格に必要な点を得ることは難しくないと考えることができます。

但し、近年の問題は、ただ単に表面的な記憶に基づく知識のみでは解けない問題が少なくありません。各科目ごとによってその傾向は異なるもののいかにより深い知識・理解力を有しているか、そして、その上に築かれた着実な応用力を有しているかが重要なポイントとなると考えられます。

以上から、単に新規な問題に目を奪われた準備や付け焼き刃的な準備ではなく、早期からの計画的な着実な基礎力と応用力の養成が合格の鍵となると考えられます。

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