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合格への鍵〜重要必須事項について、近年の問題を通して解説〜

(本欄は、当会の建築士講座講師が適宜分担して執筆し、当会建築士講座監修者(元国土交通省室長)が総合監修します。)

(平成30年度) 平成29年10月06日 ―第4回―
―建築士事務所に関する重要な規定は何か?―

第3回で、個人としての建築士が誠実に仕事をすることと、その建築士の属する建築士事務所がしっかりしていることによって社会の負託に答えることが建築士法の基本理念となっていると記しましたが、建築士法に関する試験問題でも個人としての建築士の在り方についての問題建築士事務所の在り方についての問題とに大別されます。今回は建築士法における建築士事務所についての規定について、本試験問題を基に考えてみることとします。

【問題】次の記述のうち、建築士法上、誤っているものはどれか。

  1. 管理建築士は、その建築士事務所の業務に係る技術的事項を総括する専任の建築士であるが、当該建築士事務所に属する他の建築士が設計を行った建築物の設計図書について、管理建築士である旨の表示をして記名及び押印をする必要はない。
  2. 建築士事務所の開設者が建築主との設計受託契約の締結に先立って管理建築士等に重要事項の説明を行わせる際に、管理建築士等は、当該建築主に対し、建築士免許証又は建築士免許証明書を提示しなければならない。
  3. 建築士事務所の開設者は、建築主から受託した設計の業務の一部を他の建築士事務所に再委託する場合にあっては、当該設計受託契約を締結したときに当該建築主に交付する書面等において、当該再委託に係る設計の概要、再委託の受託者の氏名又は名称等を記載しなければならない。
  4. 建築士事務所の開設者は、設計又は工事監理以外の業務について、建築主から受託する場合にあっては、建築士法に基づく重要事項の説明や契約を締結したときの書面の交付を行わなければならない。

この問題は、平成26年一級建築士法規の建築士事務所に関するいくつかの重要事項を含む問題です。
設問1は、建築士事務所を技術的な面から統括し、管理し、必要に応じて(事務所の開設者と管理建築士とが異なる場合には)事務所の開設者に、建築士や技術者の配置等、事務所の様々な技術的な事項について意見具申しなければならない重要な立場にある管理建築士に係わる設問ですが、設計図書に記名押印するのは、設計を行った建築士の職責の範囲内のことで、事務所の技術的な面について管理をする管理建築士とは直接関係ありませんので設問の通りです。

設問2、3も設問の通りです。設問2において、建築士事務所の開設者は建築主との設計受託契約に先立って重要事項の説明をしなければなりませんが、重要事項の説明は管理建築士でなくても他の代理の建築士でも差し支えありません。但し、代理の建築士の説明内容についての責任は管理建築士が負わなければならないことになっている点にも注意する必要があります。

設問4において、重要事項の説明や契約を締結するときの書面の交付は、設計又は工事監理の業務の場合のみですので設問4は誤りで、他の業務の場合は必要ないことにも注意しておく必要があります。

以上のことからも、建築士事務所において、建築士の行う業務のうちで設計と工事監理は特に重要度の高い業務に位置づけられていると考えることができます。

【問題】建築士事務所に関する次の記述のうち、建築士法上、誤っているものはどれか。

  1. 建築士は、他人の求めに応じ報酬を得て、建築工事の指導監督のみを業として行おうとするときであっても、建築士事務所を定めて、その建築士事務所について、都道府県知事(都道府県知事が指定事務所登録機関を指定したときは、原則として、当該指定事務所登録機関)の登録を受けなければならない。
  2. 建築士事務所の開設者は、建築物の建築に関する法令又は条例の規定に基づく手続の代理の業務について、建築主と契約の締結をしようとするときは、あらかじめ、当該建築主に対し、重要事項の説明を行わなければならない。
  3. 建築士事務所の開設者は、委託者の許諾を得た場合においても、委託を受けた設計又は工事監理(いずれも延べ面積が300m²を超える建築物の新築工事に係るものに限る。)の業務を、それぞれ一括して他の建築士事務所の開設者に委託してはならない。
  4. 建築士事務所の開設者と管理建築士とが異なる場合においては、その開設者は、管理建築士から建築士事務所の業務に係る所定の技術的事項に関し、その業務が円滑かつ適切に行われるよう必要な意見が述べられた場合には、その意見を尊重しなければならない。
  5. 建築士事務所の開設者は、設計等の業務に関し生じた損害を賠償するために必要な金額を担保するための保険契約の締結その他の措置を講ずるよう努めなければならない。

問題2は、平成29年度二級建築士法規の問題ですが、この問題には一級・二級建築士の建築士法の問題として最も程度の高いレベルの設問と近年の法改正に係わる留意すべき設問とを含んでいます。
設問1は、建築士の行うことのできる業務のうちで、建築士法第21条において、建築士が行うことのできる業務は、「設計及び工事監理のほか、建築工事契約に関する事務、建築工事の指導監督、建築物に関する調査又は鑑定及び建築物の建築に関する法令又は条例の規定に基づく手続の代理」と「その他の業務」と規定されており、また、建築士法第23条では、他人の求めに応じて報酬を得て第21条で規定されている建築士の行うことのできる業務の中で「その他の業務」を除く業務を業として行うときは、建築士事務所の登録をしなければならないと規定されています。
すなわち、法21条に規定されている業務の内で、施工管理業務等に該当すると考えられる「その他の業務」についてだけは建築士事務所登録の義務から除外されている訳です。
前回でも述べましたように建築士法上、工事監理と施工管理とは明確に区分されており、設計・工事監理等の業務を行う場合は建築士事務所登録を行う必要がある一方で、「その他の業務」にあたる施工管理を行う場合は建築士事務所登録の必要がないことが建築士法上の重要な基本原則となっている訳です。
ところで、設問の建築工事の指導監督は、建築士法上、建築士事務所登録が必要な業務である訳ですが、具体的にはどのような内容の業務を指すのでしょうか。
建築工事の指導監督は、建築士法21条、23条からは、当然、工事監理や施工管理とは別の業務で、また、建築事務所登録が必要であることから、例えば、委託者側の立場で、セカンドオピニオン的に施工管理を確認するなどの業務であると解することができます。(実際には、特殊な工事等で通常の契約形態とは別にCM(コンストラクション・マネジメント)契約をする場合等にあたります。)

委託者、設計工事監理、施工管理

以上のように、この設問の内容は、単に建築士法上に記載されている事項に合っているか、否かということだけではなく、設計・工事監理や施工管理等の建築の全体構成の基本原則に係わる重要な内容の問題であると考えることができます。
また、設問2における重要事項の説明は、問題1の設問4と同一の内容で、設計・工事監理の場合に限られるため、設問2は誤りです。
設問3、設問4、設問5は正ですが、いずれも平成27年の法改正に係わる設問で、過去に出題されたことのない新規な内容のものです。
なお、設問5における「……の措置を講ずるよう努めなければならない。」は、「……しなければならない。」のような義務規定と異なる努力義務規定であることも留意しておく必要があります。

以上の問題1、問題2の内容からも、建築士法に係わる問題は、一級、二級の問題で内容・レベルの差はなく、建築全体を考える上で大切な内容を含むものが多い一方で、複雑な例外事項等を含む条文は少なく、比較的勉強し易いものであるともいえましょう。

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