令和8年度の学科試験問題は、全般的に基本事項を着実に理解した上で応用力をいかに身に付けているかが問われる内容の試験で、難易度としては、学科Ⅰ(計画)、学科Ⅱ(法規)は概ね例年並みの難易度で、学科Ⅲ(構造)、学科Ⅳ(施工)は例年よりもやや高い難易度であったといえます。
学科I 計画
各分野別の出題数は例年同様の建築史が2題、環境計画が8題、建築計画が8題、建築設備が7題でした。
建築史についての問題では、日本建築史と住宅作品と設計についての問題が2題出題されましたが、それぞれやや程度の高い選択肢が含まれているものの正答肢の内容そのものは基礎的なものであったといえます。
環境計画についての問題では、地球環境、環境評価についての一級建築士試験レベルの問題が出題されました。
建築計画についての問題では、ほとんどの問題が既出分野からの問題(過去問)をしっかりと学習しておくことによって解ける問題でしたが、一部の問題にBCP、ABW、CPTED等のやや難度の高い設問も含まれていました。
建築設備についての問題では、空気調和設備に関して、吹出口のふく流型と軸流型について問う問題など、一級建築士試験レベルの難度の問題も含まれていました。
学科II 法規
各分野別の出題数は、前年同様に建築基準法が20題、関係法令が5題で、本年度は関係法令の融合問題は出題されませんでした。
建築基準法に関する問題では、出題頻度の高い採光、建蔽率、高さ制限に関する問題が本年度も出題されましたが、いずれの問題も緩和規定を新たな視点から含むもので、単に類似の過去問を表面的に学習しただけでは解くのが難しい問題であったといえます。
関係法令に関する問題では、本年度も例年通り、建築士法から2題出題されましたが、近年特に重要視されてきている建築物省エネ法に関する問題が単独で1題出題され、また消防法に関する問題も単独で1題出題されたのは注目されます。
学科III 構造
各分野別の出題数は、例年通り、構造力学が6題、一般構造が13題、建築材料が6題、出題されました。
構造力学に関する問題では、梁が斜めの問題等、やや目新しい問題も出題されましたが、いずれの問題も構造についてのしっかりした理解力を持っていれば解くことのできる基本的な問題であったといえます。
一般構造に関する問題では、近年、注目されている木造についての問題が3題出題され、壁倍率に関する選択肢の内容に新規のものが含まれていること等については特に注目されます。
また、毎年出題される構造計画と構造設計に関する問題も1題づつ出題され、選択肢に初出題の内容のものを含む、やや難度の高い問題が出題されました。
建築材料に関する問題では、多くの問題で選択肢に初出題の内容を含む新規ともいえる問題が出題されましたが、いずれも正答肢は既出題の内容であったため、既出題範囲を着実に学習していれば解ける問題であったといえます。
学科IV 施工
各分野別の出題数は、例年通り、計画、管理が4題、各種工事が18題、積算、契約、その他が各1題づつ出題されました。
計画、管理に関する問題では、申請、届出に関する問題で、提出期限まで問う問題が初めて出題されました。
各部工事に係わる問題では、基礎工事に関する問題で平板載荷試験等について新規の内容を含む、やや難度の高い問題が出題されました。
契約についての問題では、令和8年度の問題として、令和7年12月に改正された契約約款から出題されました。
以上のように本年度の各科目の出題内容は既出題範囲からのものも多く、既出題範囲内について着実な学習をすることにより、合格のための必要条件としての各科目についての50%を超える得点は可能になると考えられます。その一方で、概ね正答肢の20%程度が初出題となる近年の傾向に対して、合格のための充分条件ともいえる全科目についての総合で60%以上の得点により合格するためには、単なる過去問等についての表面的な学習では不充分で、より深い、幅広い理解による応用力を身に付ける学習が合格の鍵になるといえます。
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