令和8年度 一級建築士設計製図試験の講評


課題名

ホテル

要求図書

  • 1階平面図・配置図(縮尺1/200)
  • 各階平面図(縮尺1/200)
    ※各階平面図については、試験問題中に示す設計条件等において指定する。
  • 断面図(縮尺1/200)
  • 面積表
  • 計画の要点等

建築物の計画に当たっての留意事項

  • 敷地の周辺環境や既存建築物の現状保存に配慮して計画する。
  • バリアフリー、省エネルギー、二酸化炭素排出量削減、セキュリティ等に配慮して計画する。
  • 各要求室を適切にゾーニングし、明快な動線計画とする。
  • 建築物全体が、構造耐力上、安全であるとともに、経済性に配慮して計画する。
  • 構造種別に応じて架構形式及びスパン割りを適切に計画するとともに、適切な断面寸法の部材を計画する。
  • 空気調和設備、給排水衛生設備、電気設備、昇降機設備等を適切に計画する。

注意事項

  • 「試験問題」及び上記の「建築物の計画に当たっての留意事項」を十分に理解したうえで、「設計製図の試験」に臨むようにしてください。
  •  なお、建築基準法等の関係法令や要求図書、主要な要求室等の計画等の設計与条件に対して解答内容が不適合又は不十分な場合には、「設計条件・要求図面等に対する重大な不適合」等と判断されます。

講評

令和8年10月11日に実施された一級建築士設計製図試験の課題の内容について、近年の試験の傾向も踏まえ、以下に記すこととします。

⑴ 近年の顕著な傾向の延長線上にあるといえる課題内容

近年の試験の顕著な傾向として、予め発表される試験課題の内容についての添え書きが記されなくなってきていることにより、予め予測した課題の内容について準備することが難しくなってきていることが挙げられます。本年度の本試験課題においても、既存のチャペルと新設ホテルとを一体化し、既存チャペルの有効活用を図るという課題内容については、全くという程に予測するのは不可能で、ほぼ全ての受験者は予測不能の課題についての建築計画力を評価される試験であったといえます。

⑵ 既存建築物の保存活用の流れを反映した課題の内容

近年、我が国でも、「壊しては造る式の高度成長型」から「良質な社会資本の蓄積型」への移行が顕著となってきており、これは近年の社会状況、建築界においても大きな流れであるといえます。平成17年度の試験課題「防災学習のできるコミュニティ施設」においても、この流れを受けて既存の建築物の保存活用を図りつつ、新設の建築物を計画する課題内容となっており、本年の試験の内容にも連なるものとみることができます。


既存建築物を保存活用する課題の内容となること自体は予め発表されていましたため、予測することができましたが、上記のように保存活用すべき建築物がチャペルであることが予測不能であった点が予測不可能な近年の傾向に沿う本年度課題の特徴であったといえます。

⑶ 建築計画上の問題点

ホテルにチャペルが結婚式場として付置されていること自体は特に珍しいことではありませんが、実際に新郎新婦や牧師、親族等の動線がどのようになるのか等について詳しく知っている人はむしろ少ないかもしれません。
このため、この課題では要求室の特記事項等から新設のホテルと既存のチャペルとの関係、実際にチャペルを利用する人の動き等をしっかり読み解いた上で、適切な建築計画をまとめる力が評価されることになりますが、実は課題の内容が変わっても、課題条件をしっかり読み解いた上で課題条件に沿う建築計画をまとめる力が評価されること自体に変わることはありません。
すなわち、課題の内容が予め概ね予想できたか、できなかったかには関係無く、「しっかり課題条件を読み取る力としっかりした建築計画力が身についているか否か」を評価しようとする課題であったといえ、まさに本来の設計製図試験の主旨に沿う課題であったと考えることができます。

⑷ その他の留意事項

本課題の建築計画力上の重要な留意事項である、アプローチ計画、敷地周辺の景観等を考慮したリゾートホテルとしての計画、バリアフリーの配慮、延焼ライン、防火区画、避難、道路斜線制限、隣地斜線制限等に係わる法的規制は、どのような課題であっても、いずれも建築計画上の重要な留意事項として共通するもので、実は本課題の内容が予想し難い想定外ともいえるものであったこととは余り関係ないとも考えることができます。

⑸ 今後の試験問題への対策として最も重要で有効な対策

上記のように近年の設計製図試験の顕著な傾向として予め試験課題のおおよその内容を予測することが難しくなってきたことにより、従前のように予測した内容をもとに準備をすることが難しくなってきたことが挙げられますが、以上については本年度課題の場合についての項でも記しましたように、課題内容が予測できるものであっても、予測できないものであっても、どのような課題であっても「課題条件をしっかり読み解き、課題条件に沿う適切な建築計画をまとめる力」を身につけることが最も重要であることに変わりないことといえます。

無論、個々の建築計画は個々の課題条件によって異なり、実に様々な場合がある訳ですが、一方で、建築計画の基本的な根底ともいえる考え方については、いくつかのどのような課題にも共通する考え方があり、それらの共通する基本的な考え方を厳選された演習課題により、しっかりと身に付けていくことが今後の予測のし難い内容の試験課題への対応として極めて重要で有効な対策であるといえます。

本会の設計製図対策講座

本会講座の特長

本会の講座は、設計(建築計画)及び製図についての着実な基礎力の養成から着実な合格力の養成を目指すもので、先ず建築法規上の防火、避難等に係わる規定や斜線制限に係わる規定等をしっかり理解することや省エネ設計に係わる基本事項等についての着実な理解力の養成を図るとともに、特に近年の試験の傾向から、合格のための重要な鍵となる建築計画力の徹底養成を図る内容となっております。

通学、通信講座ともに全くの同一内容(同一課題数・同一添削数)で、建築計画力の徹底養成のために、全ての課題について添削指導することとしており、また、通学、通信講座ともに全ての課題について建築計画上の考え方に重点を置いたWeb動画による詳細なサポート解説を配信することとしております。

着実な建築計画力の養成のためには、演習課題の内容のクォリティ(質)が極めて重要となるため、本会講座では、本会会員の日本建築学会賞受賞者をはじめとする第一線の建築家であるベテラン講師陣が、着実な建築計画力の養成を念頭に系統的、段階的に作成する課題から添削指導まで一貫して担当することとしております。

本会講座における各段階の演習課題の内容は、本試験課題の内容を徹底的に検討して作成したものであることにより、個々の演習課題の内容が本試験の課題内容と似たものとなることもあり得ますが、本会の講座はあくまでもパターン化した事項の記憶によるヤマを当てる式の勉強ではなく、着実な建築計画力の養成が合格へ至る最も重要で確実な道であるとの主旨から構成されております。

令和8年度本会講座の課題

先述の通り、本試験課題では、全く予想外であるともいえる「既存のチャペルと新設ホテルとの一体化」が出題されました。本会では「ホテル」の課題演習を最大で10課題実施していきました。その中で、ビジネスホテルの可能性は低いと考え実施をしていないですが、シティホテルが3課題、リゾート・観光ホテルが7課題で、一部本試験課題に似た内容も含まれているものの、極めて予想することが困難であり、ほとんどの方が、シティホテルやビジネスホテルの課題も演習され、準備されたのではないかと思います。

そのため、先述のとおり本会の講座はあくまでもパターン化した事項の記憶によるヤマを当てる式の勉強ではなく、着実な建築計画力の養成が合格へ至る最も重要で確実な道であるとの主旨から構成されております。

下記にて、本年度講座にて、実施した演習課題の一部をご覧いただけます。

令和8(2026)年度 課題1

令和8(2026)年度 課題10

※ 各課題の設計条件等は、それぞれ実施当時の法令等に基づいて作成されております。掲載している画像は、当会が過去の設計製図講座において独自に作成・実施したオリジナル演習課題の一部です。試験実施機関の公式発表とは一切関係ありません。無断転載およびAI学習への利用を固く禁じます。

設計製図対策講座

本会講座では、令和9年度一級建築士の設計製図試験対策講座として、課題発表前からスタートし、合格の基となる製図力と、合格の鍵となると建築計画力を徹底養成する「長期設計製図講座(20回コース)」が10月の早期講座からスタートします。本会の設計製図講座は通学・通信ともに同一内容(同一課題数・同一添削数)となっており、特に通信講座において、1課題複数添削も可能です。詳細は下記をご覧ください。

長期設計製図(課題発表前)講座

課題発表前からのスタートが合格の鍵になる理由とは?
● 早期からのスタートが合格への鍵!

大方の場合の不合格答案の主原因であり、合格のための最重要ポイントである建築計画力を身につけるためには、あくまでも付け焼き刃的準備ではなく、できるだけ早い時期から計画的に準備を進めることが合格の鍵となります!

● 建築計画力を身に付けるための早期講座!

建築計画力を身に付けるためには一定の時間が必要であるため、基本的な建築計画力を身に付けるための課題発表前からの課題演習が極めて重要で、また、建築計画の考え方には様々な建物の建築計画に共通する重要な基本的な考え方が含まれているため、課題発表前の課題演習の対象建物の種類が何であるかは直接関係ないことを理解することが必要です。
基本的な建築計画力をしっかり身に付けておくことにより、実際の試験でどのようなバリエーションの課題が出題されたとしても適切に対応することが可能となり、逆に、しっかりした基本計画力が身に付いていないと少し変わったバリエーションの課題が出題されると適確に対応することが困難となってしまいます。

建築計画力を身に付けるためには、懇切丁寧な添削指導が必須条件ですが、近年の傾向である受験者の考える裁量の余地の多い、自由度の高い高度な課題に適確に対応するために、単に、演習課題を多くこなし、一方的に添削をする従来型の指導ではなく、あくまでも、受講生自身が考える力を身につけることにより総合的な建築計画力を養うための適切な指導により、上記の基本的な建築計画力を着実に身につけることが可能となります。
このため、課題の建物についての本質的な理解、計画上の重要ポイントの理解、課題条件の適確な把握、更に受講生自身の作成した計画案の基本的な問題点についての理解等を深めるために懇切丁寧に指導します。

近年の傾向に対応し、最も効果的・効率的な建築計画力の養成を目指す設計製図講座の特長
● 近年は建築計画力が重視される課題が出題されている!

近年の設計製図試験の顕著な傾向として、平成21年に公表された「試験内容の見直し」以降は徐々に、予めどのような課題の内容になるか予測が困難な課題等、受験者の真の建築計画力を測る内容の課題となってきています。

● 最も効果的・効率的に建築計画力を養成する本会講座の特長

本講座は、近年の試験の傾向から、パターン化した事項や予想問題での記憶のみでなく、どのような内容の課題にも共通し、対応できるような、合格のための重要な鍵となる基本的な建築計画の考え方、建築計画力を最も効果的に、効率的に徹底養成する内容となっております。

各段階の演習課題の内容は、本会会員の日本建築学会賞受賞者をはじめとする第一級のベテラン講師陣が予め発表された本試験課題の内容を徹底的に分析、検討して作成したものであるため、演習課題の内容が本試験の課題内容と似たものとなることもしばしばありますが、本講座はあくまでも予想問題やパターン化した事項の記憶のみによる勉強ではなく、着実な建築計画力の養成が合格へ導く最も重要で確実な道であるとの主旨から構成され、着実な実績を上げております。

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