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2019年度二級建築士学科試験の総評

本年度の学科試験は、概ね、平成24年の二級建築士試験の見直し以降の傾向の延長線上にあるといえる内容のものでしたが、本年度の試験の特徴として特に挙げられる傾向としては、学科Ⅰ(計画)、学科Ⅱ(法規)の難易度はほぼ例年並みであったといえるのに対し、学科Ⅲ(構造)の難易度は例年に比してやや高く、学科Ⅳ(施工)では特に新規の問題の出題が多く、難易度も例年に比して一段と高かったといえます。

学科 I (計画)

各分野からの出題数は、建築史2問、計画原論8問、建築計画8問、建築設備7問で、昨年と同様の出題数でした。

  • 建築史の問題は、日本の歴史的建築物の特徴を問う問題と西洋の歴史的建築物の建造の年代順を問う問題で、過去の類似問題を通じてしっかりした知識を身に付けていれば解くことのできる問題でした。
  • 計画原論ではZEH、LCA等の新規の設問肢を含む問題やCASBEEの評価に関する問題等、近年の環境、省エネ重視に係わるやや程度の高い問題が出題されました。
  • 建築計画各論では、バリアフリーに配慮した計画上の数値を問う問題や木造屋根伏図についての問題が、近年の木造建築の見直し傾向を反映した問題として出題されたのが注目されました。
  • 建築設備では、避雷設備に関する設問や大便器の給水管径に関する設問、バキュームブレーカーについての設問等、新規の設問肢を含む問題が比較的多く見られたのが特徴といえます。

学科Ⅰ(計画)では、新規の設問肢を含む問題が比較的多く見られたものの、総じて過去の既出題範囲についてのしっかりした知識があれば解ける問題が多く、難易度は概ね例年並みであったといえます。

学科 II (法規)

建築関係法令各分野からの出題数は、建築基準法20問、関係法令5問で、例年通りの出題数でした。

  • 建築基準法では、近年の法改正に係わる問題として、用途地域における「田園住居地域」に関する問題や建ぺい率、容積率における「老人ホーム等の共有廊下等の緩和」、「宅配ボックスの緩和」に関する問題が出題されたのが注目されます。
  • また、過去に出題された範囲内からの問題であっても構造強度に関して「階数が3以上の建築物の柱の小径」を問う問題や高さの制限に関して「前面道路の捉え方」を問う問題等、より深い理解力を問う問題が出題されたのも注目されます。
  • 建築関係法令からの出題では、建築士法から例年通り2問出題された他に、「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」等を含む融合問題が2問出題されたのが注目されます。

近年の法改正に係わる新規の問題も比較的多く出題されていたものの、総じて過去の出題範囲内の問題が多く、難易度は概ね例年並みであったといえます。

学科 III (構造)

各分野からの出題数は、構造力学6問、一般構造13問、建築材料6問で、例年通りの出題数でした。

  • 構造力学の問題については、曲げモーメントから荷重の大きさを求める問題やトラス、座屈等に係わる問題で、やや深い理解力を要する問題が出題されたものの、力学についての基礎的理解力が身に付いていれば解ける問題が多く、総じて難易度は例年並みであったといえます。
  • 一般構造の問題では、全般的に既出題範囲外からの新規の内容の設問肢を含む問題が比較的多く出題されましたが、それらの問題でも既出題範囲内の設問肢が解ければ正解を得られる問題が多く、結局、既出題範囲内の事項についてどれだけより正確な理解力を有しているかが正解を得る鍵ともなりました。
  • 建築材料の問題でもいずれも既出題範囲外からの設問肢を含む問題が出題され、それだけに、広範囲の知識と既出題範囲内についてのより正確な知識を有しなければ解けない問題が多く、それだけ難易度も高かったといえます。

建築構造の問題では、以上のように、総体的に新規な設問肢を含む問題が多く出題され、それだけに、既出題範囲内の事項についてもより深い理解力を要し、また広範囲の応用力を必要とするなど、概して難易度は例年よりもやや高かったといえます。

学科 IV (施工)

各分野からの出題数は、施工計画・施工管理・契約5問、各部工事18問、その他2問でした。 施工の出題範囲は元来極めて広いのが特徴ですが、本年は更に従来の出題範囲外からの設問肢を含む問題が多く出題されたのが注目されます。

  • 施工計画・施工管理・契約に係わる問題では、「断熱材の保管方法」に関する設問肢や「民間建設工事標準請負契約約款(甲)」に関する問題が、新規の既出題範囲外の問題として出題されたのが注目されます。
  • 各部工事に係わる問題としては、特に近年の木造建築の見直し機運を反映した木造住宅の基礎工事、木材の継手、断面等に関する既出題範囲外からの問題が出題され、また、改修工事についても深い理解を要する問題が出題されたことが注目されます。

総じて本年度の施工の問題は、従来の出題範囲外からの一級建築士程度の内容の設問肢を含む、高度な内容の問題も多く、それだけに既出題範囲内の選択肢についてもより正確な知識とより広範囲の知識を要するもので、難易度は例年よりも一段高かったといえます。

学科試験対策上の留意点

以上から、本年度の試験では、特に学科Ⅳ(施工)の難易度が例年に比して一段高かったことから、本年の各科目の合格基準点の予測値としては、学科Ⅰ(計画)、学科Ⅱ(法規)、学科Ⅲ(構造)では例年通り13点で、学科Ⅳ(施工)では12〜13点で、合格総合基準点は、59〜60点となることが予測されます。

近年の傾向として、出題される問題、または問題の選択肢の一部に、既出題範囲外からの設問を含む、いわゆる新規な問題も出題されるようになってきてはいるものの、まずは、既出題範囲内の事項についてのしっかりした知識・理解力があることが重要な合格のための必要条件であると考えることができます。

ただし、近年の問題は、既出題範囲内の問題であっても、ただ単に表面的な記憶に基づく知識のみでは解けない問題も少なくありません。各科目ごとによってその傾向は異なるものの、いかにより深い知識・理解力を有しているか、そして、その上に築かれたより広範囲な応用力を有しているかが、合格のための重要なポイントとなると考えられます。

以上から、単に新規な問題のみに目を奪われた準備や付け焼き刃的な準備ではなく、早期からの計画的で着実な基礎力と応用力の養成が合格力の鍵となると考えられます。

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