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合格への鍵〜重要必須事項について、近年の問題を通して解説〜

(本欄は、当会の建築士講座講師が適宜分担して執筆し、当会建築士講座監修者(元国土交通省室長)が総合監修します。)

(平成30年度) 平成30年01月29日 ―第8回―
―バリアフリー法における義務化と努力義務化規定―

第2回で、近年の社会状況を反映した出題頻度の高い問題の分野として、少子・高齢化に関する分野をとりあげましたが、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー法)についての問題も比較的出題頻度の高いこの分野の問題です。なお、この法律は建築物内に限定した旧法律の「高齢者、身体障害者が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律」(ハートビル法)の対象範囲を建築物外の戸外環境まで広げたものでバリアフリー法とも称されます。

「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」では、この法律の対象とする建築物を学校、病院、劇場、集会場、百貨店、ホテル、事務所、共同住宅、老人ホーム等の(高齢者、障害者が利用する可能性が高い)多数の者が利用する「特定建築物」と、特定建築物の中で特に多数の者が利用し、又は主として高齢者、障害者等が利用する建築物で移動等円滑化が特に必要な「特別特定建築物」とに区分して、特定建築物は建築物移動等円滑化基準に適合させることを努力義務とし、より危険度が高いと考えられる特別特定建築物については義務とすることがこの法律の骨子となっています。

また、特定建築物(特別特定建築物を当然含む)の計画の認定の申請をすることは、問題2の設問3によるように義務ではありませんが、認定の申請をした場合には、その建築物の多数の者が利用する出入口、廊下、階段等については、建築物移動等円滑化基準を超える基準の建築物移動等円滑化誘導基準に適合することが認定されるための義務とされています。(多数の者が利用するものに限られるため、メインではないサブの出入口、廊下、階段等については、この基準に適合させる必要はありません。)

なお、この法律の制定前から存在していた既存不適格建築物を、この法律の制定後に、この法律に適合するように改修することは、前回の耐震改修促進法における法の不遡及の原則と同じ理由により、義務ではありません。

【問題】「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」及び「建築基準法」に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. 床面積の合計が2,000m²の集会場の新築に当たって、建築確認の申請を受けた建築主事又は指定確認検査機関は、建築物移動等円滑化基準に適合する計画であることを確認しなければならない。
  2. 床面積の合計が2,000m²の会員制スイミングスクールを新築しようとする場合は、建築物移動等円滑化基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
  3. 床面積の合計が2,000m²の公共駐車場(利用居室が設けられていないもの)を新築するに当たって、車いす使用者用便房を設ける場合は、道等から当該便房までの経路のうち1以上を、移動等円滑化経路にしなければならない。
  4. 床面積の合計が2,000m²のホテルを新築するに当たって、客室の総数が40の場合は、車いす使用者用客室を1以上設け、当該客室が設けられている階に不特定かつ多数の者が利用する便所(車いす使用者用便房が設けられたもの)が設けられていないときは、当該客室の便所内に所定の構造を有する車いす使用者用便房を設けなければならない。

この問題は、平成23年の一級建築士法規の問題です。
設問1は、建築基準法6条1項及び高齢者、身障者移動円滑化法14条4項により正しく、また、設問2は、会員制スイミングスクールは、特定建築物に該当し、建築物移動等円滑化基準に適合させることは努力義務であるため正です。但し、会員制でない一般の水泳場であれば特別特定建築物に該当するため、建築物移動等円滑化基準に適合させることは努力義務でなく、義務となることに注意する必要があります。
設問3の建築物は特別特定建築物に該当するため、建築物移動等円滑化基準への適合義務があるため、設問3は正です。
設問4のホテルは特別特定建築物に該当しますが、設問の車いす使用者用客室を1以上設けることは、施行令15条により客室総数50室以上のホテルの場合にのみ義務化されているため、設問4は誤りとなります。

【問題】次の記述のうち、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律上、正しいものはどれか。

  1. 床面積の合計1,000m²の物品販売業を営む店舗を建築しようとする建築主等は、当該店舗を建築物移動等円滑化基準に適合させなければならない。
  2. 床面積の合計3,000m²のホテルを建築しようとする建築主等は、当該ホテルを建築物移動等円滑化誘導規準に適合させなければならない。
  3. 床面積の合計200m²の飲食店を建築しようとする建築主等は、当該飲食店の建築等及び維持保全の計画を作成し、所管行政庁の認定を申請することができる。
  4. 不特定かつ多数の者が利用する居室までの経路を移動等円滑化経路としようとする場合、経路の範囲は、建築物の主たる出入口から当該居室までである。
  5. 共同住宅を建築しようとする建築主等は、当該共同住宅を建築物移動等円滑化基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努める必要はない。

この問題は平成23年の二級建築士法規の問題です。
設問1は、物品販売業を営む店舗は、高齢者、身障者移動円滑法施行令9条により、2,000m²以上の場合にのみ特別特定建築物となり、それ以外の場合は特定建築物ですので、建築物移動等円滑化基準へ適合させることは努力義務となるため誤りです。
設問2は、2,000m²以上のホテルは、特別特定建築物であるので、建築物移動等円滑化基準へ適合させなければなりませんが、建築物移動等円滑化誘導基準への適合義務はない(計画の認定の申請をする場合には建築物移動等円滑化誘導基準への適合義務が生じます。)ので誤りです。
設問3は、特定建築物に該当するため、法17条により、建築等、維持保全の計画を作成し、所管行政庁の認定を申請することができる(努力義務)ため正しく、設問4は、施行令18条1項一号により、建築物に不特定多数の者が利用し、または、主として高齢者、障害者等が利用する居室を設ける場合の移動円滑化経路は、道、公園、広場等から当該建築物の利用居室に至るまでの経路であるため誤りです。
設問5は、共同住宅は、特定建築物に該当するため、建築物移動等円滑化基準に適合させる努力義務があるため誤りです。
以上のように、法文の規定を確実に理解し、厳密に義務か努力義務かを判断することがこの種の問題を解く上での重要なポイントとなっています。 また、この法律における建築物移動等円滑化基準や建築物移動等円滑化誘導基準で示されている数値等の基準(出入口、廊下、階段などの幅などの寸法等)は、計画の問題として出題されることが多いため、正確に記憶するなど特に留意しておく必要があります。

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