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平成26年度二級建築士設計製図試験の総評

- 近年の設計製図試験の傾向 -

26年度の設計製図試験の課題「介護が必要な親(車椅子使用者)と同居する専用住宅(木造2階建)」は、近年の高齢化社会の到来を反映した平成8年の「高齢者の同居する専用住宅」や平成10年の「将来の高齢化に配慮した専用住宅」と同様の延長線上にある課題である一方で、更に一歩踏み込んだ内容のものであったといえます。

- 本課題の傾向 -

また、24年度に試験内容が見直されてから顕著な傾向となってきている、課題条件の一部を受験者自身が設定すること(実際の設計においては、設計条件の一部を提案することが設計者の重要な能力の一部であることを反映したものと考えられます)と、設計の自由度が高くなってきていることが注目されます。本試験課題では、一部の所用室については、受験者自身で設定することとなっており、課題対象建物についてのしっかりした知識と課題全般を充分に把握した上での適切な判断が求められるものとなっています。
すなわち、日常の家庭生活で、家族が協力して祖母の介護をしやすいこと、また、介護される祖母ができるだけ快適に過ごしやすいことの双方にできるだけきめ細かく配慮した計画案が求められる課題となっており、車椅子使用者の家庭内での介護ということについて、具体的に必要な知識としっかりした建築計画力が必要な内容の課題であったといえます。

- 本課題の計画上の最重要ポイント -

更に、今回の本試験課題で特に注目される点として、敷地の南側に接道する条件であったことがあげられます。住宅としては、できるだけ南側に落ち着いた庭を確保するという基本的な前提条件を踏まえながら、他方で南側の道路から(外部から)のアプローチや駐車場、スロープ等をどのように庭の雰囲気をできるだけ確保しながら計画するか、南側道路の敷地条件の中で、様々の設計条件を考えながら、裁量の余地の多い中で最適解を出すことが求められる、設計の自由度の高い課題となっており、高度な建築計画力を必要とし、試験の評価上も最も重要なポイントとなると考えられます。

- 27年度試験合格を確実にするための鍵 -

平成27年度の設計製図の試験の課題は、従来の2年木造の出題が続いた後は、1年RC造のものが出題されるという傾向から、鉄筋コンクリート造となることが予想されます。試験の内容が本質的に変わることはありませんが、RC造の基本構造をしっかり理解した上での着実な計画力、製図力の養成のためには、できるだけ早い段階からの準備が不可欠ともいえます。無論、構造、設備に対する基礎的な計画力、記述力を養成することも大切ですが、試験の合否を決める重要ポイントは、あくまでも建築計画力であること、また、建築計画力は、中々に短期間で身につけることは難しいこと、更に、特に基礎的建築計画力を養成するために、課題対象の建物が何であるかは関係ないことを理解しておくことが重要といえます。このため、例年の試験の課題発表前までに、基礎的建築計画力を身に付けておくことは、確実な合格を得るための鍵といえましょう。

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