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平成24年度二級建築士学科試験の総評
24年度の二級建築士学科試験の内容は、先に試験実施機関である(財)建築技術教育普及センターから発表された、概ね従来の水準を維持するものの、近年の技術の高度化、環境問題や社会構造の変化や法令の改正を踏まえ、適宜、見直すこととするという試験内容の見直し方針に総じて沿う内容のものとなった。
すなわち、近年の傾向として単に知識のみでなく、より深い理解力、応用力がなければ解けないような問題が一定の割合で出題されるようになって来たことに加え、従来にも増して出題範囲が広くなり、いわゆる新規の分野から出題された問題も散見されるようになって来たことが本年の特徴といえる。
学科 I (建築計画)
建築計画各論については、概ね例年並みのレベルの内容の問題が多かった一方で、建築設備に関する問題では、レベルの高い設問からなる問題が出題されるなど、近年の傾向として、エネルギー、環境問題に係わる分野については、今後も特に留意する必要があると考えられる。また、建築史の分野からは、例年1題であるのに対し、2題出題されたことなども注目される。
学科 II (建築法規)
建築基準法以外のいわゆる建築関連法規から従来は4題出題されていたのに対して、本年は5題出題されたのが注目される。また、新規分野からの問題として、構造計算適合性判定に係わる問題の他に耐震改修促進法に係わる問題が出題されたのは、近年のストック型社会の到来に係わる問題として今後も注視して行く必要がある傾向の問題であると考えられる。
学科 III (建築構造)
例年、構造力学に関する分野と構造計画・構造設計に関する分野が出題の大きな柱となるが、本年は構造力学に関する問題が例年並みの素直な問題であったのに対して、構造計画・構造設計に関する問題ではやや程度の高い問題、新傾向の問題が出題されたのが注目される。特に、耐震計画、耐震診断・耐震改修に係わる問題は、今後も引き続き出題の可能性の高い問題として留意しておく必要がある。また、木造に係わる問題も少しずつ増加する傾向にあるのも注目点といえる。
学科 IV (建築施工)
総じて本年の問題は例年並みの傾向の素直な問題が多く、幅広い着実な基礎知識を身につけていれば、大方は解ける問題であったといえる。但し、近年の傾向として、木造に係わる問題が増える傾向にあるのは、近年、環境問題等の係わりからも木造が見直され、重視されるようになって来たことに沿うものであるとも考えられ、注視すべき点の一つであるといえる。
以上のような24年度学科試験の出題傾向を踏まえ、あくまでも着実な基礎力を身につけることが前提条件であるとともに、従来にも増して、表面的に留まらずより深い理解力を身につけて応用力を養うとともに、環境、改修、木造等の近年の社会状況を反映した分野の問題に一層留意して行くことが合格の鍵といえる。

二級建築士講座

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